
ドラマで考える医療倫理
I - Case 1│ほんとうのこと
絵を描くことが趣味の山本真紀子さん (54)は進んでがんの告知を受けた。「夫や娘とともに残りの人生を精一杯我が儘に生きます」という真紀子さんの言葉に、隠すよりも告知することが患者に生きる力を与えるという思いを強くした主治医の中野。しかし、最後の思い出にと家族旅行に出掛けた真紀子さんは予定を切り上げて早く帰ってきた。(約17分)

娘の誕生日の夕暮れ、外科医・木下のもとにバイクの飲酒運転で転倒した男性が搬送されてきた。腹腔内出血の診断で手術が必要と判断した木下は患者に説明をするのだが、患者は頑として手術を拒む。理由も明かされず戸惑う木下や看護師・三田村薫は、増田さんの母親に説得を頼んだ。(約16分)

強い腹痛のため、深夜の救急外来を受診した佐藤あずみさん(20)。新人看護師和泉りさ(23)が、緊急手術の説明のため呼ぼうと家族の連絡先を尋ねても彼女は何故かけっして答えようとしない。(約14分)

研修医の三浦ちさと(27)は、ある日スーパーマーケットで声を掛けられる。かつて看取った患者の娘・加藤あかねさん(17)だった。亡き母親の病理診断の最終的な結果が出たかどうかと問われ、ちさとは翌日病理医のもとを訪ねる。(約21分)

物忘れの目立ちはじめた有馬静江さん(70)は、軽い知的障害をもつ息子の伸一さん(40)とふたりで生活している。そんなある日、ふたりの生活を支えている市の保健福祉センターの主任看護師の黒川佐代子のもとに、市議会議員からふたりへの苦情の電話が寄せられた。(約18分)

元小学校教諭の堀山ふねさん(70)は肺の病気のため、夫と2人の娘に支えられながら在宅酸素療法を続けている。ある雨の夜、ふねさんはあまりの息苦しさに救急車で病院に搬送される。診察した主治医は 「人工呼吸器をつけないと命が危ない」と夫に告げる。(約13分)

本多 勇さん(45)は企業戦士である。数年前に糖尿病と診断されていたが、仕事の忙しさから治療を中断していた。取引先相手との病気の話をきっかけに再び治療に専念しようと決意した本多さんだったが、その矢先に上司から海外赴任を依頼され――。(約20分)

有坂重人さんの父親(81)は脳卒中後、施設で生活している。風邪をこじらせ入院した病院で、経過観察中の大動脈瘤が大きくなっているのが分かった。外科医は年齢や全身状態から判断して手術は勧められないといい、内科の主治医は血圧をコントロールして様子を見ることを重人さんに提案する。(約26分)
